映画祭レポート④/「アメリカン・インディペンデント」特集

 映画祭3日目、当映画祭の短編コンペティション部門審査員を務めるジャネット・ボンズによるセレクション上映「アメリカン・インディペンデント」特集が開催された。
 

 
 カリフォルニア州・バークレーで開催されているアニメーション専門の映画祭である、GLASアニメーション映画祭のディレクターをつとめ、国際的なアニメーション・コレクティブ「レイト・ナイト・ワーク・クラブ」のメンバーでもあるジャネット。本プログラムは、GLASアニメーション映画祭のコンペティション部門歴代ノミネート作品から特別にセレクションを行った。
 
 GLASアニメーション映画祭: https://www.glasanimation.com/
 
 現在は世界の商業作品をリードするアメリカのアニメーション業界だが、いまだ子供向け作品か深夜のコメディー作品の需要が大きく、それ以外には予算がまわりにくい。アニメーターはいずれかの作品を制作するプロダクションに所属するほかに、収入を得る機会が極端に少ない状況にあるという。インディペンデント作品制作を助成する公的資金もなく、一見潤沢な環境に見えて、個人作家たちは厳しい環境におかれている。
 
“going to the store.” by David Lewandowski
 
 そんな状況の中、学生などの身分保障のある人材を除いたフリーランス向けのステップアップの場として、GLASアニメーション映画祭を立ち上げた。本プログラムでは10作品が上映され、CGで作られた作品、クレイアニメーション、日本の作品に影響を受けつつも独自の世界観で作成されたものなど、多様なラインナップとなった。非商業ベースでアニメーターが個人制作し、みな一種の解放感を得るために制作されたものたちだ。
 

EAGER by Allison Schulnik from Allison Schulnik on Vimeo.

 
 アメリカのアニメーション業界の状況に驚きを受けつつ、この現状を何とか乗り切ろうというジャネットの思いに呼応する刺激あるプログラムとなった。