長編コンペティション部門 ノミネート5作品発表!
第6回新千歳空港国際アニメーション映画祭の長編アニメーションコンペティションの選考結果を発表いたします。コンペティション設立2年目となる今年は、32の国と地域から50作品の応募があり、そのうち5作品がノミネートとなりました。
長編部門セレクション作品
https://airport-anifes.jp/nciaf2019_ssl/competition/feature_compe/
日本からは、7年を超える制作期間をかけて作られた岩井澤健治監督『音楽』(2019年/日本)がノミネート。不良学生が思いつきでバンドを始める音楽劇です。人気漫画家大橋裕之の原作の魅力がロトスコープの手法によってオフビートかつ最大限に発揮される本作は、オタワ国際アニメーション映画祭でのワールドプレミアも決定しています。本映画祭では、爆音上映に加え、劇中のライブシーンに出演しているトクマルシューゴ氏&伴瀬朝彦氏によるミニライブ付きでの上映、さらには岩井澤監督と松江哲明プロデューサーによるメイキング・トークを行います。
Gints Zilbalodis監督『Away』(2019年/ラトビア)は、飛行機事故で不時着をした少年が、黒い影に追われながら生き延びるサバイバル劇です。完全個人制作で作られたCGアニメーション長編として注目された本作は、アヌシーでは今年新設のコントラシャン部門の初代グランプリに輝いています。過去『Priorities』(短編コンペティション入選)で映画祭来場経験のあるジルバロディス監督は今回も映画祭に来場、メイキングトークを行います。
Cristobal León & Joaquín Cociña監督『The Wolf House』(2018年/チリ)は、周辺環境から隔離された村より逃げ出した少女が迷い込んだ家で起こる奇妙な出来事を、部屋全体をコマ撮りするダイナミックな手法で描きます。軍事政権時代のチリの史実をベースにした本作はチリ各地の美術館での公開制作を経て作られ、その実験的な手法が高く評価。ベルリン映画祭でのワールド・プレミア、アヌシー国際アニメーション映画祭での審査員特別賞受賞など、話題となった作品です。本作の監督のひとりクリストバル・レオン監督は短編アニメーション部門の審査員として来場。過去作品の特集上映と本作のメイキングトークも行います。
Félix Dufour-Laperrière監督『Ville Neuve』(2018年/カナダ)は、1990年代のケベック州独立運動の最中、離婚した中年夫婦が相見え、関係性を探る物語を描きます。インク画によって描かれた簡素なドローイングスタイルの本作は、光と影の表現が極めて美しく、ザグレブやアヌシーをはじめとする様々な映画祭で高い評価を受けています。
Jérémy Clapin監督『失くした体』(2019年/フランス)は、切断された手が自分自身の身体を探して現代のパリの街を彷徨う物語と、その身体の持ち主であるモロッコ移民の青年の物語がパラレルに語られます。過去、本映画祭の審査員として来場したこともあるクラパン監督初の長編となる本作は、カンヌ映画祭批評家週間でアニメーション作品としては初のグランプリ、アヌシーでもクリスタル(最高賞)獲得など、今年を代表する作品として注目されています。Netflixが全世界での配給権を獲得したことも話題となりました。
今年もバラエティ豊かな作品が集まった本コンペティションは、ザグレブ国際アニメーション映画祭アーティスティック・ディレクターのダニエル・スルジック氏(ウクライナ)、過去アヌシーや広島でグランプリ経験のあるアニメーション作家チョン・ダヒ氏(韓国)、そして企画・プロデュース作である『HELLO WORLD』が公開となったばかりの東宝プロデューサー武井克弘氏(日本)の国際審査員3名により審査され、映画祭期間中に「長編グランプリ」(賞金30万円)1本が選出されます。